[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] : ある接待室にて
[メイン2] 因幡 月夜 : 「───以上で定時報告を終えます」
[メイン2] 因幡 月夜 : 巫女のような服を着た白銀の少女が、目の前の椅子に向かって語りかける
[メイン2] 因幡 月夜 : いや、目の前という表現は少し誤りだろう
[メイン2] 因幡 月夜 : 彼女は『盲目』であるのだから
[メイン2] 因幡 月夜 : そんな事は勿論本人の意に介さず、淡々と報告を終え…席を立つ
[メイン2] : そこに待ったを掛ける声が一つ
[メイン2] : 「少し待ちなさい、こちらから貴女に伝えたい事があるわ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 退室するためにドアノブに手をかけていたが、一旦引っ込め再び椅子の方を向く
[メイン2] 因幡 月夜 : 「何ですか」
[メイン2] : 「ええ、そうね…少し回収してきて欲しいものがあるから」
[メイン2] : 「それの回収、頼めるかしら?」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「何を?が抜けてますよ。それで動くわけないじゃないですか」
[メイン2] : 「せっかちね。まあいいわ…今回頼むのは『聖人の遺体』と『矢』よ」
[メイン2] : くるり、と椅子を回して
[メイン2] 鳴神虎春 : 「詳しい事は音声ファイルにあるので説明は省くとして…」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「『何故』でしょう?次に問いかけたい事は」
[メイン2] 鳴神虎春 : くすくすと笑みを浮かべて
[メイン2] 鳴神虎春 : 「矢に関しては少し今回の『スポンサー』からの要請、遺体に関しては」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「私情が2割、事情が5割」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「残り3割は貴女ね」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……?」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「聖人の遺体に触れた者は数々の『奇跡』を授かる事になる」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「────例えば」
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 : 「『動かなくなった足が動いたり』」
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 : 「ここまで言えば聡明な貴女なら気付くのじゃないかしら?我が妹」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「…………チッ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「あっ今舌打ちしたわね」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「それがあれば、彼を剣の道に戻す事も…貴女の病弱も治せる」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「そう思わないかしら?」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「………いいでしょう」
[メイン2]
因幡 月夜 :
───事実、この呪われた血による病は早期に回復せねばならない
それが悪魔に魂を売る神の奇跡であったとしても、だ
[メイン2] 因幡 月夜 : 「それで、私が選ばれた理由はそれだけじゃないでしょう?」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「まあ3つくらい理由はあるわ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「1つ目は貴女がこの組織の中で一番強いから」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「2つ目は説明通り」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「3つ目は貴女自身の探索能力と精神力」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「…ああ、来たみたいね。聞こえてるでしょう?」
[メイン2] : 敷地内に車が止まり
[メイン2] : 暫くして、扉が開けられる
[メイン2] 因幡 月夜 : ───数は3人
[メイン2] 因幡 月夜 : 装備として拳銃らしいものを全員常用
[メイン2]
因幡 月夜 :
……武力制圧にしては物足りない装備だ
と言うことは
[メイン2] 財団職員 : 「例のプロジェクトの実行段階に移りました!」
[メイン2] 財団職員 : ワッペンを付けたスーツ姿の男性が3人、室内に入る
[メイン2] 鳴神虎春 : 「ご苦労、遺体の回収と矢に関しては任せなさい」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「代わりに、持って来るものは持ってきたのよね?」
[メイン2]
鳴神虎春 :
「可愛い可愛い妹に万が一があるととても困るので…」
フフフと笑いながら
[メイン2]
因幡 月夜 :
どの口が言うんだとは口が裂けても言わない
話も進まなさそうだし
[メイン2] 財団職員 : 「はっ!此方に!!」
[メイン2] 財団職員 : そう言い、スーツから謎の物体が取り出され金髪の女に手渡す
[メイン2] 鳴神虎春 : 「ご苦労」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「そして……成る程」
[メイン2] 財団職員 : 「我々が用意できる範囲で一番と思われるものを用意しました!」
[メイン2] 鳴神虎春 : その手渡されたものを眺めて
[メイン2] 鳴神虎春 : 白銀の少女に投げる
[メイン2] 因幡 月夜 : 投げられたものを無言でキャッチする
[メイン2]
因幡 月夜 :
音からして円形のもの
恐らくは『DISC』……?
[メイン2] 因幡 月夜 : 「なんですかこれ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「DISCよ、スタンドと呼ばれる力を付与するね」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「4つ目の理由ができたわ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「これは貴女にしか使えないわ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 肩をすくめて笑う
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……はあ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「頭に置けば勝手に差し込まれるわ、物理法則を無視してね」
[メイン2] 因幡 月夜 : 言われるがままにDISCを差し込み
[メイン2] 因幡 月夜 : 額から一筋の汗が垂れ流れる
[メイン2] 因幡 月夜 : ………成る程
[メイン2] 因幡 月夜 : 『スタンド』とはかくも恐ろしいものだ
[メイン2] 因幡 月夜 : そう認識した瞬間であった
[メイン2] 鳴神虎春 : 「これがスタンダードではないけれどねえ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「ま、使いなさい」
[メイン2] 財団職員 : 「一つほど忠告が」
[メイン2] 財団職員 : 「完全に追い詰められ、命の危機に瀕した場合にのみ使用許可を出します」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……ええ、こちらもそうします。相手がスタンド使いであれ『これ』を出すのは少し躊躇われるので」
[メイン2] 財団職員 : 「ならば問題ありません、現場まではこちらで送らせてもらいます」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「……さて、行きなさい因幡」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「────面倒事押し付けただけでは?」
[メイン2]
鳴神虎春 :
ふふふふふ
と意味深に笑っている
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……まあ、いいです」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「では」
[メイン2] 因幡 月夜 : そう言い、一足先に退出する
[メイン2] 因幡 月夜 : ──相手が何であろうとも、己の技で叩き斬るのみ
[メイン2] 因幡 月夜 : スタンドであったとしても、叩き斬れはしまいがやりようは思いつく
[メイン2]
因幡 月夜 :
───遺体は我が手中に収めよう
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 財団職員 : 最後の職員が出て行く前に、金髪の女に語りかける
[メイン2] 財団職員 : 「これでよろしいのですか?確かに一番用意しやすく、尚且つ強力なものではありますが」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「因幡なら平気よ、そいつに対する特効とも言えるわ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「それに」
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 : 「これくらい御し得ないと、『奇跡』には届かないでしょう?」
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 財団職員 : (ネジの狂ったイカれ女め…)
[メイン2] 財団職員 : そう思いつつも、同じく部屋から退室した
[メイン2] 財団職員 :
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] 間宵 シグレ :
[メイン2] 間宵 シグレ :
[メイン2] 間宵 シグレ : 曇り空、寒い風、軽く震える体を
[メイン2] 間宵 シグレ : きゅぽんと開けたカンポット一口で、緩やかに温める
[メイン2] 間宵 シグレ : 慣れない街を慣らすには、味だけは故郷にして始めろと誰かが言っていた
[メイン2] 間宵 シグレ : 雪の代わりに雨が降り、風は山々ではなくビルが吹くこの街に来たのは数時間前
[メイン2] 間宵 シグレ : 地図も知らない、何があるかも知らない
[メイン2] 間宵 シグレ : 厳密には、"二つ"ほど知っているが
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…っと、しまった…カンポットが切れてた」
[メイン2] 間宵 シグレ : 魔法瓶から、ぽとりと水滴
[メイン2] 間宵 シグレ : 中身はもうない、一滴だって残ってない
[メイン2] 間宵 シグレ : 「東方のメロンは美味しいから、飲む計算を違えたか…」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「仕方ない、口の淋しさだけは"紛らわせよう"」
[メイン2] 間宵 シグレ : 空の魔法瓶を持つ手が、ふわりと"ブレる"
[メイン2] 間宵 シグレ : その手は
[メイン2] アンダー・ワールド : 無機質なヴィジョンに移り変わり
[メイン2] アンダー・ワールド : 『飲みスギハ良くナイと思ウンダガナ』
[メイン2] 間宵 シグレ : 「飲んでないだろ?このやり方じゃ」
[メイン2] アンダー・ワールド : 『糖尿病ニナッテモ知らナイカラナ』
[メイン2] アンダー・ワールド : そのまま魔法瓶はちゃぽんと、音を響かせて
[メイン2] 間宵 シグレ : 「なぁに、こんな糖分すぐ使い切る」
[メイン2] 間宵 シグレ : それを手に取り、一飲みする
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…ふう、腹には溜まらないけど」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「味は『記録』されてるから、これでいーや」
[メイン2] アンダー・ワールド : 満足げな声と共に姿を隠す
[メイン2] 間宵 シグレ : 「さて、と」
[メイン2] 間宵 シグレ : 注いだ記憶を飲みながら、街を見回す
[メイン2] 間宵 シグレ : 触れた道路から、初めからあったかのように一つ車両が映し出される
[メイン2] 間宵 シグレ : 「積荷は間違いなく、この街に」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…何に使うんだか」
[メイン2] 間宵 シグレ : 溜息を吐き、さらにもう一度タッチすると
[メイン2] 間宵 シグレ : もう一台、今度は数世代前の車両が現れて
[メイン2] 間宵 シグレ : 既にその中に座っている
[メイン2] 間宵 シグレ : 「このタクシーは観光に使われた記憶だ…」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「運転手さん、お代は"16年前"に払われてるからさ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「精々、街を見回らせてくれ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 夜の街、タクシーは走り出す
[メイン2] 間宵 シグレ : それは、少し昔そこで走らされたそれと同様に
[メイン2] 間宵 シグレ : 「何はともあれ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「私はやるべき事をやったと言う記録を作らないとね」
[メイン2] 間宵 シグレ : カンポットを飲み、外の景色を見ながら
[メイン2] 間宵 シグレ : ぶっきらぼうに呟くのだった
[メイン2] 間宵 シグレ :
[メイン2] 間宵 シグレ :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 : ───それは数ヶ月前の話
[メイン2] : 「えへへ…ごめんなさい」
[メイン2] : 「私…もう長くないみたいで…」
[メイン2] 千代田 桃 : 赤髪の少女はいつものよりに、にへらと笑う。
[メイン2] 千代田 桃 : 己に課せられた運命を、飲み込んだかのように。
[メイン2] : 「だから…最後くらい、手を握ってくれますか…?」
[メイン2] : 「…宿敵ではなく、友として」
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 : その手は暖かった。
[メイン2] 千代田 桃 : 心音を示す電音が一定から動かなくなっても、ずっとずっと。
[メイン2] 千代田 桃 : 「うそつき」
[メイン2] 千代田 桃 : 「居なくならないって言ったくせに」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……シャミ子の、ばか」
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 : その時私が出来たことは。
[メイン2] 千代田 桃 : ただ彼女の手を握り続けることと、魔法でもないかと深く祈っただけだった。
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 : ───そして、今
[メイン2] 職員 : 「─────という訳で」
[メイン2]
千代田 桃 :
喫茶店、ふわりと香る珈琲の匂い。
ただしかし、それを無視するように千代田桃は虚ろに目の前の男の話を聞いていた。
[メイン2] 職員 : 「以上の概要に当てはまる存在…"遺体"を回収すれば、前述していた通りの金額が君へと振り込まれる」
[メイン2] 職員 : 「○○社として、これは是非とも必要だ」
[メイン2] 職員 : 資料を置き、一通り説明し終えたように桃へと向き直る。
[メイン2] 職員 : 「君の友達…ミカンくんだったか。彼女の手術代にはなるだろう」
[メイン2] 千代田 桃 : ぴくり、耳が動く。
[メイン2] 千代田 桃 : 「…ええ、そのつもりで受けましたから」
[メイン2] 千代田 桃 : 「それを回収すれば、必ず……助けてくれますよね」
[メイン2] 職員 : 「金は支払うし、こちらでも手は尽くす」
[メイン2] 職員 : 「なにせ…彼女は"スタンド"が暴走し昏迷状態にある…対応したことの無いケースだからね」
[メイン2] 職員 : 「確定は言えないのは、申し訳ないが…」
[メイン2] 千代田 桃 : 「…いえ、構いません」
[メイン2] 千代田 桃 : 「私は私の力で、私の出来ることを成します」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……では、これで」
[メイン2] 千代田 桃 : 自らの代金を机へと置き、席を立つ。
[メイン2] 千代田 桃 : …ふう、もう一度深く息を飲み込んでから。
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 : 店を出ると、ふわりとした風が私を出迎えた。
[メイン2] 千代田 桃 : 空も明るく、太陽がさんさんと照らしており…
[メイン2] 千代田 桃 : それからも逃げるように、ぱたぱたと足を走らせる。
[メイン2] 千代田 桃 : …"遺体"とやらはスタンド使いですら望む物。
[メイン2] 千代田 桃 : スタンド使いがぶつかり合えば、起こりうるのは『殺し合い』
[メイン2] 千代田 桃 : 殺さなければ殺されてしまうようなもの。
[メイン2] 千代田 桃 : だから、私も殺しの覚悟を持たねばならない…
[メイン2] 千代田 桃 : そう考える自分の足は、早くなっていくばかりで。
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 : ようやく足が止まったのは、人気のない誰も来ないような薄暗い路地裏。
[メイン2] 千代田 桃 : 「これさえ終わらせれば、私は…」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……"私の力"で『運命』に抗える」
[メイン2] 千代田 桃 : ゆらり、自らの生命エネルギーを発露させる。
[メイン2] 千代田 桃 : 「さあ、やるよ」
[メイン2] 千代田 桃 : 「─────『シャドウミストレス』」
[メイン2] シャドウミストレス : 「……」
[メイン2] シャドウミストレス : その声に応じるように、陽炎のようなものが形作っていく。
[メイン2] シャドウミストレス : 「……本当に、いいんですか」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……やる」
[メイン2] 千代田 桃 : 「だから、私に使え」
[メイン2] シャドウミストレス : 何かを言いたそうな口は、その命令によって閉ざされる。
[メイン2] シャドウミストレス : "スタンド"が彼女へと手を伸ばすと。
[メイン2] 千代田 桃 : 桃の体は光に包まれ。
[メイン2] 千代田 桃 : 拳を、地面へと叩きつける。
[メイン2] 千代田 桃 : ──ドゴォォォォォッッッ!!
[メイン2]
千代田 桃 :
大地がひび割れ、地面は陥没する。
紛れもない"私の力"で起こしたそれに、もう一度『覚悟』を入れ直す。
[メイン2] シャドウミストレス : 「……」
[メイン2] シャドウミストレス : それをただ、"スタンド"は見つめる。
[メイン2] シャドウミストレス : スタンド、人間の精神の発現。
[メイン2] シャドウミストレス : 裏表関わらずその心を照らす写し鏡。
[メイン2] シャドウミストレス : 角や尻尾が生えた、『友』によく似たその"鏡"は彼女を見つめるだけで。
[メイン2] 千代田 桃 : ……その目から、どこか逃げるように
[メイン2] 千代田 桃 : 足を、向かわせる
[メイン2] 千代田 桃 : 目指すは…戦いの場。
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 : 魔法なんて力はない。魔法少女なんて存在しない。
[メイン2] 千代田 桃 : 私の力で全てを解決してやる。
[メイン2] 千代田 桃 : 私の手から今あるものを零さないために。
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 : 『遺体』の回収のため、目的地に到達した少女
[メイン2] 因幡 月夜 : 『遺体』が眠っている明確なポイントまでは不明だが、確かにこの付近にあることは確か
[メイン2]
因幡 月夜 :
無造作に、『東』を向く
────そっちか?
[メイン2] 因幡 月夜 : そのまま、白銀の少女は向いた先に歩を進めようとして────
[メイン2] ラッキー・ルウ : ざく、ざく……という音とともに、低い声が。
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「はァ……こんなとこ一日中探し回ってたら、食料がいくらあっても足りねェっつうのによォ」
[メイン2] 因幡 月夜 : "声"を聞きつけ、そちらの方に振り向く
[メイン2]
因幡 月夜 :
声からして成人男性
そして手持ちには───銃ですか
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「……あァ?」
……子供か?
[メイン2] 因幡 月夜 : 足音からその所有品を察しつつ
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……そう言うあなたは大人ですね」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「だっはっはっは!!見た目の通りよ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : がぶり、と豪快に肉に食らいつく。
[メイン2] 因幡 月夜 : 見た目、と言われても眼が見えない以上何も判断できないのだが…豪快な人間ではあると勝手に判断する
[メイン2]
因幡 月夜 :
そして、閉じていた瞼を開け
光の灯っていない紅色の瞳をその男に向ける
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……ん? なんだ嬢ちゃん、目が……」
[メイン2] ラッキー・ルウ : ……なんだ?
[メイン2]
因幡 月夜 :
「ええ、見えませんが?」
[メイン2]
因幡 月夜 :
そう言いつつ、抜刀
そして……刹那の様に納刀する
[メイン2] : ───地に真っ二つと化した蛾の死体が落ちる
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「おわッ……!?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : おいおいおい……折角探し物を手伝ってもらおうと思ったのによォ……
[メイン2] 因幡 月夜 : 「───貴方も『遺体』が目当てですか?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……!」
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「あー……お嬢ちゃん、耳は良い方か?」
呆れたように。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「ふふ、名答」
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「ふん、なら話は早ェ……さっきのおれの台詞は聞いてるよな」
採掘に使っていたスコップをズブン、と地に刺し。
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「『見た目の通りよ』」
[メイン2] ラッキー・ルウ : ズドン━━と、銃声。
[メイン2] 因幡 月夜 : 強調された言葉に眉を動かす
[メイン2] 因幡 月夜 : そして、スコップの音を聞き刀に手を掛ける
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「!」
[メイン2] 因幡 月夜 : そのまま、抜刀
[メイン2] 因幡 月夜 : 何を目掛けたのか認知は出来ていないが、飛来した『弾』を綺麗に真二、断つ
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「おォ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「おれもこの身分になって長いが……『弾』ァ斬れるような奴はまだ片手で数えるほどしか見てないぜ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「ふふ、『片手』分はいるんですね」
[メイン2] 因幡 月夜 : 相変わらず世界と言うものは広いものだと再認識して
[メイン2] 因幡 月夜 : 「では」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「命までは獲りませんが」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「御容赦を」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 相手に見えない笑みをにやり、と返しつつ
[メイン2] 因幡 月夜 : 言い放つと同時に、その小柄な体躯を活かして驀進する
[メイン2] ラッキー・ルウ : 対照的に大柄な体躯を転がしてなるべく距離を取りながら、ドン、ドンと二発。
[メイン2] 因幡 月夜 : ───音そのものには慣れた
[メイン2] 因幡 月夜 : 身体を僅かに捻り、1発目の弾丸を回避
[メイン2] 因幡 月夜 : その回避した姿勢のまま
[メイン2] 因幡 月夜 : 2発目の攻撃を刀の柄の部分で『打ち上げる』
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「! へェ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 変わらず兎は巨漢に猛追
[メイン2] 因幡 月夜 : ───鋒まで残り4歩
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……じゃ、こういうのはどうだァ!?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : ドン、ドン…と、今度は因幡を挟むように、その左右の見当違いの方向に……二発。
[メイン2] ラッキー・ルウ : (見えねェんなら……正面から横に避けようとするよなァ!?)
[メイン2] ラッキー・ルウ : そして、念入りに……正面からは巨体を生かした蹴りを。
[メイン2] 因幡 月夜 : その思惑通り、正面から横に避けようとし
[メイン2] 因幡 月夜 : ──成る程、筋肉の動きから確信した
[メイン2] 因幡 月夜 : 挟み撃ちか
[メイン2] ラッキー・ルウ : (…………ッ!ちィ……)
[メイン2] 因幡 月夜 : 僅かに笑みを浮かべて
[メイン2] 因幡 月夜 : 最もダメージを与えられる蹴りを回避
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「ぐ……!」
[メイン2] 因幡 月夜 : 鞘と刀をそれぞれ取り出し
[メイン2] 因幡 月夜 : 念の為弾丸を叩き落とす
[メイン2] ラッキー・ルウ : (おいおいおいおい……やべェぞこいつ……!)
[メイン2] 因幡 月夜 : 鋒まで、残り2歩
[メイン2] 因幡 月夜 : 再び鞘に刀を戻し
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……っ!」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 苦し紛れに、先ほどまで採掘に用いていたスコップを蹴り出し
[メイン2] 因幡 月夜 : 足を踏み込み
[メイン2] ラッキー・ルウ : 刀を防御する位置に、手で固定する
[メイン2] 因幡 月夜 : ───アレは撃ち落とせはしない
[メイン2] 因幡 月夜 : しかして、驀進は止まらず
[メイン2] 因幡 月夜 : 首を捻り、それを避け
[メイン2] 因幡 月夜 : ガードされた位置に向け、抜刀する
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「おァ……ッ!?」
[メイン2] 因幡 月夜 : ───直撃した
[メイン2] 因幡 月夜 : 模造刀であるとは言え、鉄の塊
[メイン2] 因幡 月夜 : 当たれば一たまりもないだろう
[メイン2] ラッキー・ルウ : ぼこん、という肉の鈍い音のあと……カラン、とスコップが落ちる。
[メイン2] 因幡 月夜 : そして、僅かに少女が吐血する
[メイン2]
因幡 月夜 :
(………、少し派手に動き過ぎた?)
(いや…今はそれどころじゃない)
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
[メイン2] ラッキー・ルウ : 『ズドン』
[メイン2] ラッキー・ルウ : ━━あるはずもない背後から、銃声。
[メイン2] ラッキー・ルウ : その銃弾は、的確に少女の右足を狙う。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「!?」
[メイン2] 因幡 月夜 : 圧倒的な奇襲
[メイン2] 因幡 月夜 : 気づくまでは良かったが反応が遅れ
[メイン2] 因幡 月夜 : 狙い通り、その足が撃ち抜かれる
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「━━あァ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「そうだなァ……お前が果たして『見える側』の人間なのか、そうじゃねェのか……ってまでは、知ったこっちゃァねェが」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「少なくとも、『それ』を認識できなくて……助かったぜェ?」
[メイン2] 因幡 月夜 : 内心で舌打ちする
[メイン2] 因幡 月夜 : これが
[メイン2] 因幡 月夜 : これが『スタンド使い』かッ!!
[メイン2] ラッキー・ルウ : ルウの指す少女の前にあったのは、手の部分がスコップに『固定させられた』……肉塊の像。
[メイン2] 因幡 月夜 : ────成る程
[メイン2] 因幡 月夜 : 無理矢理身体を動かし、一先ず距離を2歩分取る
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「……悪ィな、目の見えない相手にこんな奇襲なんてよォ」
じゃきん、と次の銃弾を込め直しながらゆっくりと近づく。
[メイン2] 因幡 月夜 : 恐らく、音から判断しスコップを固定しているのだろう
[メイン2]
因幡 月夜 :
「戦いの場に…卑怯も何もないでしょう」
にやりと笑い
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「!……へェ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「その心意気は買ってやってもいいが……お得意のその脚はもう使えねェんじゃねェか?」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「………チッ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : じりじりと距離を詰めていく。
[メイン2] 因幡 月夜 : 次は、明確に舌打ちする
[メイン2] 因幡 月夜 : 僅かに、本当に僅かに後ずさる
[メイン2] 因幡 月夜 : 病弱の身もあり、その後退は僅かで
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 刀の射程圏内から外れるように、脚を止める。
[メイン2] 因幡 月夜 : 足を止めた音を聴き、少し顔を顰めて
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……お前、何のために『あれ』探してんだ? 技術こそあるが、そんな弱々しい身でよォ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「………自分の身を治す為と」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「弟子が剣の道に復帰する為の治療…ですよ」
[メイン2] 因幡 月夜 : そう言い放ち
[メイン2] 因幡 月夜 : 顔を、真剣な表情に戻し
[メイン2] 因幡 月夜 : 撃ち抜かれていない『左足』を、一歩前に
[メイン2] 因幡 月夜 : 全体重を、その足に
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「…………ッ!?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 不意の闘志に、やや反応が遅れ。
[メイン2] 因幡 月夜 : 体重移動によるその移動は、確かに刀の射程圏内に収まり
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 : 『薬丸自顕流』
[メイン2] 因幡 月夜 : 『雲耀』
[メイン2] 因幡 月夜 : 『瞬光』
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 : ───雷速すら超えた抜刀
[メイン2] 因幡 月夜 : それは、巨漢の男の腹を狙い
[メイン2] 因幡 月夜 : 雷の速度を得た鈍器は、振り抜かれる
[メイン2] 因幡 月夜 : 浮き、負傷した右足を地につけ
[メイン2] ラッキー・ルウ : すぱん、と。今度は確かに抉れ……赤黒い液体の吹き出す音。
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……ッ……!!ぐあ゛あ゛あ゛あ゛……ッ!!」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「…………てめェ……ッ!!!」
[メイン2]
因幡 月夜 :
───いや、万全では無い!
確かに一撃与えたが…軽い!
[メイン2] 因幡 月夜 : 今度も、にやりと笑って
[メイン2] 因幡 月夜 : 「窮鼠猫を噛む」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「追い詰められた兎は、時して勇敢になるものですよ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……ぬかせ……!!世間知らずの病弱ガキ風情が……ッ!!」
[メイン2] ラッキー・ルウ : だん、だん、だんと乱れる銃声。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「『余裕』が、消えてますよ!」
[メイン2] 因幡 月夜 : そのまま刀を振るって、銃弾を叩き落とす
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「…………!」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「これで!!」
[メイン2] 因幡 月夜 : そのまま再び刀を振ろうとし
[メイン2] 因幡 月夜 : 大きく、吐血
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「…………ッ…」
[メイン2] 因幡 月夜 : ────不完全の雲耀は、やはり…
[メイン2] 因幡 月夜 : しかし、その光亡き瞳の闘志は消えず
[メイン2] ラッキー・ルウ : (……これ以上踏み込んだとこで、追手でも来たらままならん……仕方ねェ)
[メイン2] ラッキー・ルウ : 素早くしゅう、と……顔に向かって『何か』を噴霧する。
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「土産だ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「…?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : それは、まるで濡れたマスクのように顔に吸い付く……不快な『肉塊』。
[メイン2]
因幡 月夜 :
僅かに思案する顔
──スプレー?
[メイン2]
因幡 月夜 :
「……ッ!」
それを回避しようとも出来ず、直撃
[メイン2]
因幡 月夜 :
(こ…れ……は?)
困惑が収まらないまま
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「……じゃあなァ。次に会うときは、おれかお前か」
「どちらかが死ぬ時、だ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : そのまま、脚の抉れた傷口に……同じように噴霧して。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……ええ、その時に"また"」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 後ろに転がるように、坂を下ってその姿を消す。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「………あ、名前を聞きそびれ………これは」
[メイン2]
因幡 月夜 :
───成る程、やっと能力が『理解』出来た
[メイン2] 因幡 月夜 : 「ありがとうございますよ、名も知らぬ銃使」
[メイン2]
因幡 月夜 :
そのまま、戦闘地域から動く事もなく
目の見えないその顔を空に見上げた
[メイン2] 因幡 月夜 : 全く、『未知』が多いものだ
[メイン2] 因幡 月夜 : 再び顔を戻し、『東』を向きながらそう思うのだった
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「あァ……ってェな畜生……」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 腹部にぱっくりと開いた傷にもぞもぞと『肉スプレー』の肉が入り込む。
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「こんな調子で使う予定じゃあなかったんだがなァ……おれが喰う分がなくなっちまう」
「『遺体』の場所は見逃すしよォ……どうしたもんか」
[メイン2] ラッキー・ルウ : しょんぼりと肩を落としたまま、通りを歩いていると。
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……あァ、なんだ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「良いところに補充対象がいるじゃァねェか」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 視界の先には。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…へー、へー」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「おかしなことしてると思ったら…割とあくどい道具なんだねえ、それ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 補充という言葉に、苦笑いして
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「ありゃァ……こうも耳がいい奴と連続で会うとはなァ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「ただ調べ物してるだけなんだけども、ねー」
[メイン2] 間宵 シグレ : ぐっと、距離を保ちつつ
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「あァ……聞こうか?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 懐に差した銃を確かめつつ。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「私の目的はこの街に運び込まれたただの荷物だよ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…ま、それ調べるなら」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「貴方みたいな物騒な相手の方がいいかな」
[メイン2] アンダー・ワールド : アンダー・ワールドが、隣にぐっと構える
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「!」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「おいおいおい、そりゃァ願ったり叶ったりだぜ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「わざわざ獲物が『食事の許可』くれるなんてよォ!!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「そうかいそうかい、じゃあまぁ…」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「目に物喰らわせてあげる…って事で」
[メイン2] アンダー・ワールド : そのまま、足踏みすると
[メイン2] アンダー・ワールド : シグレ達の後ろから暴走車両が突っ込んでくる
[メイン2] アンダー・ワールド : そのまま、シグレを引っ張りその進路を外れて
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「はァ!!?おいおいおいおい!!」
[メイン2] アンダー・ワールド : 運転手はどうやら気絶しているらしく、アクセルは踏み込まれてハンドルはふらついている
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「ちょっと……いくらなんでも無茶がすぎねェかァ!?」
[メイン2] アンダー・ワールド : 『悪党ミタイナやり方トカ言うナヨ』
[メイン2] アンダー・ワールド : 鉄の塊が高速で突貫する
[メイン2] ラッキー・ルウ : (躊躇してる場合じゃァねェな……こりゃ)
[メイン2] ラッキー・ルウ : 自らの腹部に『肉スプレー』を突き刺すと
[メイン2] ラッキー・ルウ : 突如、骨付き肉型のスプレーを残してその巨体が姿を消す!
[メイン2] 間宵 シグレ : 「早い…!?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……車両ってんなら、車輪と車体の隙間が浮いてるよなァ!?」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「おいおい、貴方の巨体でやるなんてそりゃあ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「スライムかアメーバかい?なんてね」
[メイン2] ラッキー・ルウ : その巨体があった場所を車両が通り過ぎたのち……その姿をスプレーから噴射して。
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「ああ、いいよなァ。あいつら、いくらでも喰う分を増やしてくれるんだぜ…ッ!」
[メイン2] アンダー・ワールド : そのまま、ルウのいた場所を突っ切った車は帰る
[メイン2] 間宵 シグレ : 「へー…成る程?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 噴射の勢いで、そのまま目の前に飛び込む!
[メイン2] 間宵 シグレ : 「そのお肉がスタンドかッ!」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「お前には分けてやんねェけどな!」
[メイン2] アンダー・ワールド : 噴射に対応できるパワーは無い、盾になるようにアンダー・ワールドが前に
[メイン2] 間宵 シグレ : 「おいおいじゃあ何だ…もしかしてその増減…」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「…………っと」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…このスプレーが吹き出してるのはしょーじき喰らいたくないかもね!」
[メイン2] 間宵 シグレ : アンダー・ワールドを前にし、距離を開ける
[メイン2] ラッキー・ルウ : スタンドに阻まれ、その巨体をどしりと着陸させる。
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「あァ……『電車を生み出す能力』か? タネさえ割れちまえば簡単なもんだよなァ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…へへ、そう思う?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……ああ。てめェの近くにいりゃ、てめェも巻き添いだからよォ!」
[メイン2] アンダー・ワールド : アンダー・ワールドが手を叩く
[メイン2] 間宵 シグレ : 「そりゃあまあ、車じゃあそうだね」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「あ?」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「私も喰らいたくはない、ありゃ痛いよー?」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「なんで今度は優しく、ついでに」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「貴方の手品も見せてみてよ!」
[メイン2] アンダー・ワールド : 『全ク』
[メイン2] アンダー・ワールド : 『場所ガ街デ良カッタヨ』
[メイン2] アンダー・ワールド : 辺りから、喧騒が聞こえる
[メイン2] アンダー・ワールド : ぞろぞろと、一般人達の往来が唐突に始まる
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「何を言って……」
思わず振り返る。
[メイン2] アンダー・ワールド : 押し合い寄り合う人混みが、辺りを埋める
[メイン2] アンダー・ワールド : 『車だけジャナイッテ事』
[メイン2] アンダー・ワールド : そのうちの一人を蹴って人混みから飛び出す
[メイン2] ラッキー・ルウ : (……なんだ? 何が狙いだ? 奴の能力は……)
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……ッ!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「まぁ、足止めにはいいでしょ?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 素早くその身を構え、衝撃を減らそうとする。
[メイン2] アンダー・ワールド : 本来ルウほどの面積は無かったはずの人混みの記憶
[メイン2] アンダー・ワールド : そこにルウが混じれば、間違いなく
[メイン2] アンダー・ワールド : ルウの巨体は人ごみに挟み込まれる
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……おいおいおい、これがどうしたってんだァ!?」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「ん~?」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「いやあ、まぁ…」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「兵法の基本ってトコ」
[メイン2] アンダー・ワールド : アンダー・ワールドが、地面を叩けば
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「!」
[メイン2] アンダー・ワールド : ルウを呑み込むように建物が構築し始められる
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「は……はァ!!?」
[メイン2] アンダー・ワールド : 『渋イ喫茶ダ、無くナッタノガ勿体ナイ』
[メイン2]
間宵 シグレ :
「世知辛いねえ」
ケラケラ笑いつつ
[メイン2] ラッキー・ルウ : 人に挟まれ、身動きが取れず。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「一つ教えてあげよう、アンダー・ワールド」
[メイン2] ラッキー・ルウ : ただ、その建物のあった場所に…飲み込まれる。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「この喫茶が無くなった理由は」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「火事で全焼、だそうだ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : ……あ?
[メイン2] アンダー・ワールド : 『ソリャ、仕方ナイ』
[メイン2] アンダー・ワールド : 『マッチ一本、火事ノ元ってヤツカ』
[メイン2] アンダー・ワールド : そのまま、人ごみを飲み込んだ喫茶は
[メイン2] アンダー・ワールド : 焦げ臭いにおいと共に、火が付いた
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……ッ!!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「良かったね、記憶の中の火だから延焼はしない」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「ただまぁ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「喫茶の中は高温だし煙で酸素が無くなるぞ~?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「がッ……!!」
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
奴の能力……『事故を作り出すことができる能力』……!?
いや……それじゃァ人混みなんて出せたことの説明がつかねェ……!!
[メイン2] ラッキー・ルウ : そのままルウの姿は燃え盛る建物の中に飲まれていく。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…さて、これで無力化…のはずだけどね」
[メイン2] 間宵 シグレ : 構えは解かず
[メイン2] ラッキー・ルウ : やがて、その『再現』により……喫茶は消火され、煙だけが立ち上る。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…どれ?」
[メイン2] 間宵 シグレ : 焦げ落ちた喫茶をも押しのける人混みを睨む
[メイン2] : 「なァ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…ッ!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…へぇ、マジ?」
[メイン2] ラッキー・ルウ : その床には、巨大な肉塊が。
[メイン2] 間宵 シグレ : 冷や汗を垂らす
[メイン2]
間宵 シグレ :
「…ほぉ〜…成る程、成る程…」
そう躱せるなんて、相当な柔軟性じゃあないか
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……ふたつ教えといてやるよ。でっけェ肉を焼くときには、『中までしっかり』焼いとかないとダメだってこと」
[メイン2] ラッキー・ルウ : もそり、と肉塊が胎動するように動く。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「ふふ、ソコまでやったら死ぬだろうが」
[メイン2] 間宵 シグレ : とはいえ…これを御し切る相手なら
[メイン2] 間宵 シグレ : その方が良かったかな、と思いつつ
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…まあいい」
[メイン2] ラッキー・ルウ : ぴり、とその皮を破って覗くのは……巨大な肉の「肺」ッ!!
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…『尋問』は期待出来ないね」
[メイン2] 間宵 シグレ : その恐ろしい絵面に、ふうと息を吐く
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「待てよ。ふたつ教える、っつったはずだぜ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「もうひとつは」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…ほほう」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「おれはちょうど、こんがりとうめェ肉が食いたかったってことだ。感謝してるぜ」
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「━━これだけの『人混み』をご馳走してくれてよォ〜〜!!」
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
[メイン2] ラッキー・ルウ : すべての『人混み』が、渦を描くようにそのスプレーに吸い込まれていく。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…っと!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「吐き出せる量は限度があっても」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「吸う量には限度無しっと」
[メイン2] 間宵 シグレ : 数十人単位の人間が消え去るのを見て
[メイン2] アンダー・ワールド : 『言ッテル場合カ、相手が自由ニナッタッ!』
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「さァなァ。おれは限度なしなんて言った覚えはねェが」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「試してみるか?お前の『災害』とおれの『人災』……どっちが強いかをよ!!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…いいよ、じゃあ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 肉のスプレーから、うねるように巨大な肉の波が放出され少女を飲み込もうとする
[メイン2] 間宵 シグレ : 「やってみようか、腕試しってのをッ!」
[メイン2] 間宵 シグレ : そうは言いつつ、地面は叩かず
[メイン2] 間宵 シグレ : その渦に真正面から突っ込む
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「な……!?」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「じゃあ、一つ教えるよ、二つじゃもらいすぎだからね」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「この人混みは全て記憶だ、この場所で行き交う人々を再現した物」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「それらは干渉できても『改変』は出来ない」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「例えば…」
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「…………」
記憶……再現する能力、それが正体か……ッ!
[メイン2] 間宵 シグレ : 「場所を変えるとかは無理だってさ?」
[メイン2] アンダー・ワールド : 渦に変わった融解した"人混み"は
[メイン2] アンダー・ワールド : 事実の修正力に引かれて
[メイン2] アンダー・ワールド : 大きく、ルウの方へ戻っていく
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「な……ッ!?」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「じゃあもう一ォつ!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「言われた事!しっかりと!」
[メイン2] ラッキー・ルウ : スプレーで吸収しようとするも、その勢いまでは押し殺せず……後ろの壁に追突する。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「やってやろうか、こうやってね!」
[メイン2] アンダー・ワールド : アンダー・ワールドの拳が
[メイン2] アンダー・ワールド : その肉の海を殴る
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……くそが……ッ!!!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「今度は"火事"だけだ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 指で示すその先には
[メイン2] 間宵 シグレ : 喫茶店の"シルエット"で業火が現れる
[メイン2] 間宵 シグレ : 「その内から焼けるって事さ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : …………ッ!!
[メイン2] 間宵 シグレ : 喫茶店と重なる部分にも、その中で炎が燃え盛る
[メイン2] ラッキー・ルウ : くそ、くそ、くそッ……!!何なんだよ、全く……ッ!!
[メイン2] 間宵 シグレ : 「"降参"か"気絶"だ!」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 今度こそ、その灼熱の業火に……飲み込まれ。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「そして多分今回は、後者かもね」
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「……いいや!!まだだッ!!」
その一瞬の隙を。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「……!」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 自らの肉を抉り、それを……紐状にしてシグレに巻きつける。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「ッ…成程…!」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「共倒れか…いや」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「そちらのスタンドなら、距離が無ければ一撃……決められるんだろうね」
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
「……」
にやりと。
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「火力的にはおれが不利だが……『我慢比べ』だぜ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 流石に引き合える力は無い、それは確実だ
[メイン2] 間宵 シグレ : が
[メイン2] 間宵 シグレ : 「……我慢比べか、成程」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 紐状の肉体の上を火が伝って……燃え上がる!
[メイン2] 間宵 シグレ : 「それは『困る』私にはやりずらいだろうね」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「だから…まぁ」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「あ゛…?」
[メイン2] アンダー・ワールド : 『我慢シロヨ、コッチが"マシ"ダ』
[メイン2] アンダー・ワールド : アンダー・ワールドが、すぐ傍で
[メイン2] アンダー・ワールド : シグレの隣に
[メイン2] アンダー・ワールド : ラッキー・ルウを再現する
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「何を……」
[メイン2] アンダー・ワールド : 『オ前ニシテ貰うンダ』
[メイン2] アンダー・ワールド : 『私ハ、何もシナイ』
[メイン2] アンダー・ワールド : 再現されたルウは
[メイン2] ラッキー・ルウ : ……記憶、再現……?
[メイン2] アンダー・ワールド : 初め行ったように
[メイン2] アンダー・ワールド : その場に合った肉を、クリーム・スターターで"噴射"した
[メイン2] アンダー・ワールド : その現象はもちろん
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「は?」
[メイン2] 間宵 シグレ : すぐ傍に居たシグレも『巻き込む』
[メイン2] 間宵 シグレ : 瞬間
[メイン2] 間宵 シグレ : 自身の肉をスプレーに変える能力に巻き込まれて
[メイン2] 間宵 シグレ : シグレも先程シグレの居た場所に噴射されていった
[メイン2] 間宵 シグレ : その肉は、ぐずぐずになって
[メイン2] アンダー・ワールド : 『今のオ前に喰らわサレテイタラ』
[メイン2] アンダー・ワールド : 『再起不能、ダッタナ』
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「…………」
[メイン2] ラッキー・ルウ : メラメラと燃え盛る視界に。
[メイン2] ラッキー・ルウ : 自身の完膚なきまでの……『負け』を悟り。
[メイン2] ラッキー・ルウ : どさり……と、その場に座り込み、やがて気を失った。
[メイン2] アンダー・ワールド : それを見届ける頃
[メイン2] アンダー・ワールド : グズグズになった本体からの意識が途切れて、"全て"の再現が解除される
[メイン2] アンダー・ワールド : 炎も、そして
[メイン2] アンダー・ワールド : シグレをグズグズに力も
[メイン2] 間宵 シグレ : 「……ッグ、くそ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「本当にこれで乗り切ったんだろうな…アンダー・ワールド」
[メイン2] 間宵 シグレ : 解除されて、溶けた肉から人型に戻り
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…ふぅ、ふう」
[メイン2]
間宵 シグレ :
「喰らわない為に立ち回ってたのに…なぁ…」
気絶したルウを見つつ
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…甘い見積も考えものだ…ホントーに」
[メイン2] ラッキー・ルウ : 「……」
[メイン2] ラッキー・ルウ : かちりと。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…ん?」
[メイン2]
ラッキー・ルウ :
その頬には、『肉スプレー』で偽装された銃口が埋め込まれており。
ゆっくりと下ろされる━━撃鉄が。
[メイン2] ラッキー・ルウ : ……しかし、飛んだ銃弾は、辛うじて……少女の右手を掠めるだけだった。
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…オイオイオイ」
[メイン2] 間宵 シグレ : 「……物騒になったよな、世の中も」
[メイン2] 間宵 シグレ : 右手から垂れる血を見て、そう呟く
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…カタギじゃない相手か、恨まれなきゃいーが」
[メイン2] 間宵 シグレ : そう言って、その場を去っていく
[メイン2] 間宵 シグレ : 流石によろめくが、まー
[メイン2] 間宵 シグレ : ここで気絶したら次は死ぬと、確信しつつ
[メイン2] 間宵 シグレ : 「…本当、何持ちこんだんだか」
[メイン2] 間宵 シグレ : 嫌気すら感じさせるセリフを吐き捨てて
[メイン2] 間宵 シグレ : そこには、最後には今生きる者だけが残されたのだった…
[メイン2] 間宵 シグレ :
[メイン2] 間宵 シグレ :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 : 氷の女との死闘を繰り広げ、肩で息をしつつ止血をする少女
[メイン2] 因幡 月夜 : その少女は
[メイン2] 096 : 白い怪物に抱き抱えられたまま各地を巡行する
[メイン2] 千代田 桃 : 対するように、街をただ歩く少女。
[メイン2] 千代田 桃 : 戦士とは別れ、当てもなくただ歩いていたが。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……ハァ…こっちは遺体の方では…!!」
[メイン2] 千代田 桃 : ────『生命の点り』を、感じる。
[メイン2] 因幡 月夜 : 少女の鼓動を聞き、そちらを振り向く
[メイン2] 千代田 桃 : それは…小さくも、しかして頑固なその明かり。
[メイン2] 千代田 桃 : それにつられるように、思わず。
[メイン2] 千代田 桃 : 『視た』、白いソレを。
[メイン2] 千代田 桃 : 「……女の子と、…あれは…なに…?」
[メイン2] 096 : 「─────────」
[メイン2] 096 : わなわなと震え出す
[メイン2] 096 : そして、少女を地面に置き
[メイン2] 096 : 顔を覆う
[メイン2] シャドウミストレス : 「な、なんでしょう…?」
[メイン2]
096 :
呻く
嘆く
[メイン2] 096 : そして
[メイン2] 096 : 桃の方を向き
[メイン2] 千代田 桃 : 「…さあ、……ッ!?」
[メイン2] 096 : 「GYYYAAAAAAHHHHHッ!!!」
[メイン2] 千代田 桃 : 割れんばかりのその声、まるで悲鳴とも叫び声ともつかないソレに。
[メイン2] 096 : 突如叫ぶ
[メイン2] 千代田 桃 : 冷や汗が出て────
[メイン2] 千代田 桃 : 「…なに、ッ…!?」
[メイン2] 千代田 桃 : こっちを向いた……!?
[メイン2] 096 : そして、宿主の因幡を無視し
[メイン2] 096 : 桃に向かって進撃する
[メイン2] 千代田 桃 : その、溢れんばかりの……”圧”が向けられたことに、思わず身震いする。
[メイン2] 千代田 桃 : 「……ッ、来い…!」
[メイン2] 千代田 桃 : 咄嗟、戦闘態勢を取り……
[メイン2] 千代田 桃 : 向かうソレに対して、腕を構える。
[メイン2]
因幡 月夜 :
「待って!ああもう!!」
堪らず叫ぶがそれに『体力』を持っていかれ膝をつく
[メイン2] 因幡 月夜 : ダメだ…また!
[メイン2] 096 : 絶叫
[メイン2] 096 : そのまま腕を桃に向けて
[メイン2] 096 : 大きく振り下ろす!!
[メイン2]
千代田 桃 :
…!?
スタンド、だろうけど…本体らしき少女が、倒れこんでいる…!?
[メイン2] 千代田 桃 : 「…ッ、これ、くらい…!」
[メイン2] 千代田 桃 : その腕を、自らの腕で防がんと。
[メイン2]
千代田 桃 :
そう、シャドウミストレスの力を存分に使った、腕の強化。
本来なら、この一撃で相手の腕をも叩き折れるもの、だが。
[メイン2]
096 :
重機、否
その一撃は山すら震動させる
[メイン2] 096 : それを、一個人に向けるのであれば
[メイン2] 096 : 結果は明白であろう
[メイン2] 千代田 桃 : 「……な────」
[メイン2] 千代田 桃 : ズドン。
[メイン2] 千代田 桃 : 桃の立つその地面が、大きく────凹む。
[メイン2] 千代田 桃 : クレーターでもできたかのように、その力を受け。
[メイン2] 千代田 桃 : 「ッ、ぅ、ぐぅううう……!!!」
[メイン2] 096 : そう、本来ならここで終わっていてもおかしくはなかった
[メイン2] 096 : 怪物にとっての誤算は2つ
[メイン2] 千代田 桃 : その腕の一撃は……桃の両腕を叩き折って止まる。
[メイン2]
096 :
"因幡"の制御の強さと意志を汲み取ったもの
そして
[メイン2] 096 : 目の前の少女の練度だろう
[メイン2] シャドウミストレス : 「な、ぁっ……平気ですか、桃…!?」
[メイン2] 096 : しかしながら、その脚で
[メイン2] 096 : 桃に向かって蹴りを放つ
[メイン2] 千代田 桃 : 「……強い、コイツ……!」
[メイン2] 千代田 桃 : …力比べじゃ、ただ負ける……!なら……
[メイン2] 千代田 桃 : それを受ける前に、足を大きく振り下ろし────
[メイン2] 千代田 桃 : ドゴン。
[メイン2] 千代田 桃 : クレーターを広げ、お互いの足場を崩れさせる。
[メイン2]
因幡 月夜 :
───!
少し離れた場所でなんとか刀を杖に支えた少女はその音を聞き
[メイン2]
因幡 月夜 :
「離れてシャイガイ!!」
そう叫ぶが
[メイン2] 096 : 怪物は、その意は無視し
[メイン2] 096 : 崩れた足場にて、その長腕を再び桃に向かって振るう
[メイン2] 千代田 桃 : 「マジ……か、ッ」
[メイン2] 千代田 桃 : 足場崩しは、諸刃の剣。
[メイン2] 千代田 桃 : 自らの姿勢も崩してしまい、その一撃は……
[メイン2] 千代田 桃 : 「…ぐ、ゥあああッ!!!」
[メイン2] 千代田 桃 : 空いていた腹へと。
[メイン2] 096 : 金剛石すら叩き砕くであろうその一撃は、腹に向かい
[メイン2] 千代田 桃 : がは、と。
[メイン2] 千代田 桃 : 口から血を吐きながら…その”化物”へと見つめる。
[メイン2]
千代田 桃 :
…これが、スタンド……?こんな、圧倒的な力を持っていて…
それでいて、私よりもずっと…強い。
[メイン2] 千代田 桃 : ……な、ら…
[メイン2]
096 :
それは目の前の敵のしぶとさに対してか
或いは主人の状態に関してか
[メイン2] 096 : 大きく叫び猛る
[メイン2] 096 : そして、更に身体の動きを加速させ
[メイン2] 096 : 腕か、足か
[メイン2] 096 : 意外!それは頭突きッ!
[メイン2] 千代田 桃 : 折れた手を、ごきり。
[メイン2]
千代田 桃 :
スタンドの『強化』。
無理やり、力を込めて真っすぐ整える。
[メイン2] 096 : 頭突きを意表を突くように桃に目掛けて───
[メイン2] 千代田 桃 : そして────
[メイン2] 千代田 桃 : 力を込めたのは、足。
[メイン2] 千代田 桃 : ぐぐ、と。
[メイン2] 千代田 桃 : 割れた地面から、逃れるように跳ねる。
[メイン2] 千代田 桃 : ────そして。
[メイン2] 096 : それを疑問に思わない知能の怪物は、桃に更なる追撃を浴びせようと腕を構え
[メイン2] 千代田 桃 : 『シャドウミストレス』を抱え。
[メイン2] 千代田 桃 : 取った行動は、化け物から離れる事。
[メイン2] 千代田 桃 : その腕を…間一髪、躱し。
[メイン2] 千代田 桃 : 元ぶつけられたであろう地面には、大きく穴が開いていた。
[メイン2] 千代田 桃 : 「…やっば……でも」
[メイン2] 千代田 桃 : そうして、跳んだ先は、うずくまる少女。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「─────まずい」
[メイン2] 千代田 桃 : ……この子が、本体のはず。
[メイン2]
因幡 月夜 :
動け、動かせ!早く!!
そう自身の体に念じるも───
[メイン2]
千代田 桃 :
スタンドがいくら強くても…本体を殺せば────
その身は崩れて、きっと脅威はなくなるはず。
[メイン2] 千代田 桃 : それが、一番早い方法だ。
[メイン2] 千代田 桃 : 「……」
[メイン2] シャドウミストレス : そう思案する桃の腕を、引っ張る。
[メイン2] シャドウミストレス : 「…ダメ、ですよ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「…………」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「このまま殺した方が楽でしょうに」
[メイン2] 因幡 月夜 : 蹲ったまま、そう話しかけ
[メイン2] 因幡 月夜 : 「ダメですよ、シャイガイ……今は…危害を加えちゃ」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……」
[メイン2] 096 : 桃の後ろに、再び怪物が腕を振ろうとし
[メイン2] 096 : 止まる
[メイン2] 千代田 桃 : げほ、と血の籠った物を口でぬぐって。
[メイン2]
:
『あんたのその力は何処もかしこもぶっ壊す為のもんじゃないだろ』
『守る為のもんじゃねえのかよ』
[メイン2] 因幡 月夜 : 「ははは…よく出来ました、そのくらいできないとがっかりです」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……それ、じゃあ…」
[メイン2] 千代田 桃 : 「…今、なんであなたは殺さなかったの?」
[メイン2] 千代田 桃 : 「…わざわざ、『ダメ』なんて言って」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「………」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「人の命は無闇矢鱈に弄ぶもんじゃ…ねーですよ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「それだけ。いや…」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「殺しをしたくないだけです、私は、そして彼にも」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……殺しを、したくない…」
[メイン2] 因幡 月夜 : 瞳を見開き、顔を見てはいけない怪物の方を光亡き瞳で見つめながら
[メイン2] 千代田 桃 : 「……あなたは…あいつを抑えられてないみたいだけど」
[メイン2] 千代田 桃 : 先ほどの事を思い出す、生命の力が途切れていた事を…ふと。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……はは、抑えるとか抑えないとかじゃないんですよ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「アレはそう言うもの」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「"恥ずかしがり屋"の名を冠した怪異なのだから」
[メイン2]
因幡 月夜 :
「だけど」
少し手招きして白い怪物を寄せる
[メイン2] 千代田 桃 : 「”恥ずかしがり屋”…ね」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「誰とも触れ合えないって、寂しいじゃないですか」
[メイン2] 因幡 月夜 : シャイガイの足に少し触れながら
[メイン2] 千代田 桃 : …”恥ずかしがり屋”なのであれば。
[メイン2] 千代田 桃 : 「…だから、『目の見えない』あなたが傍にいるってことね」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「そこまでわかりますか」
[メイン2] 千代田 桃 : ……感じ取った違和感、盲目のような振る舞いをしている彼女に。
[メイン2] 千代田 桃 : 「……病弱そうなことまでも、ね」
[メイン2] 千代田 桃 : 見えるその『生命』は、灯る火が今にも消えそうなほどに。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「『兎』の寿命って知ってますか?」
[メイン2] 千代田 桃 : その弱さはどこか、昔の友を思い出すようで。
[メイン2] 千代田 桃 : 「…知らないや」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「兎ってぇのは…18でその命を散らすようで」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「だから、こうして遺体を探してるんですよ」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……なるほど、ね」
[メイン2]
千代田 桃 :
「その『兎』が、あなただってこと」
手を、稲葉に向けて振る。
[メイン2] 千代田 桃 : ……その”恥ずかしがり屋”を、抑えられていないのは…彼女の体の弱さ、故ならば。
[メイン2]
シャドウミストレス :
その手に向かって、頷く。
することはわかる、『鏡』なのだから。
[メイン2] シャドウミストレス : ……”スタンド”が、因幡へと手を握る。
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……?」
[メイン2] 千代田 桃 : 「もしかしたら…最初の方はちょっと痛いかもしれない」
[メイン2] 千代田 桃 : 「…でも、我慢してくれると助かるな」
[メイン2] シャドウミストレス : 彼に渡された、その『生命エネルギー』。
[メイン2] シャドウミストレス : ありったけの、その『生きる力』を。
[メイン2] シャドウミストレス : ────『死にかけ』の彼女へと、流し込む!
[メイン2] 因幡 月夜 : 「…ッ!!」
[メイン2] シャドウミストレス : 『波紋』が広がるように、スタンドの手は光り。
[メイン2] シャドウミストレス : ありったけの『生命』は、流れていく。
[メイン2] 千代田 桃 : 「…今流してるのは、『生命エネルギー』」
[メイン2] 千代田 桃 : 「『兎』の問題は変わらないかもしれない、けど」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……”寂しがり屋”と、仲良くするくらいの体力は…出来たんじゃないかな」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「………」
[メイン2] 因幡 月夜 : 身体を起こす
[メイン2] 千代田 桃 : 与えれられたエネルギーが抜けて、対照的に足を突くが。
[メイン2] 千代田 桃 : 「……どうかな?」
[メイン2] 因幡 月夜 : 今までの無茶が全て『無かった』かのように
[メイン2] 因幡 月夜 : 身体が動く
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……礼はしておきますよ、ありがとうございました」
[メイン2]
千代田 桃 :
「その様子なら…大丈夫そうだ」
ふう、と息を吐き。
[メイン2] 千代田 桃 : 「…いや、私も」
[メイン2] 千代田 桃 : 「『殺しをしたくないだけ』だったから、ね」
[メイン2] 千代田 桃 : 顔の見えない彼女に、軽く微笑んで。
[メイン2]
シャドウミストレス :
足をついた彼女へと、肩を貸して。
同じく、笑う。
[メイン2] 因幡 月夜 : 見えないまま、微笑み返して
[メイン2] 因幡 月夜 : 「……遺体は、それでも此方が収めます」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「ですが」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「今回は私『達』の負けです」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……ああ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「行きますよ」
[メイン2] 096 : いつの間にか、ビル群の端にて蹲っている怪物を起こし
[メイン2] 千代田 桃 : それに、声だけ返し。
[メイン2] 096 : 起き上がり、少女を抱えて
[メイン2] 096 : 何処へと再び姿を消す
[メイン2] 千代田 桃 : それを……見届け。
[メイン2] 千代田 桃 : 「こっちも、私『達』の勝利だ」
[メイン2] 千代田 桃 : 「『私達の力』による、ね」
[メイン2] 千代田 桃 : そう言って、『強化』が剥がれていき。
[メイン2] 千代田 桃 : ただの少女へと、戻る。
[メイン2] 千代田 桃 : 「ッ、く…ッは…」
[メイン2] 千代田 桃 : 腹や腕貫かれた一撃は重く、立つこともままならない。
[メイン2] 千代田 桃 : ───だから。
[メイン2] シャドウミストレス : 「……仕方ないですね、桃は」
[メイン2] シャドウミストレス : スタンドが、その彼女を背負う。
[メイン2] : 『良い仲間だよ、流石は私の能力、だ』
[メイン2] 千代田 桃 : 仲間で、友で、自分自身、か。
[メイン2] 千代田 桃 : 「……ふふ」
[メイン2] 千代田 桃 : 「……今日くらい、いいじゃん」
[メイン2] 千代田 桃 : 「『シャミ子』」
[メイン2] 千代田 桃 : 今日は随分と…
[メイン2] 千代田 桃 : 太陽が指す、いい日だった。
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 千代田 桃 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 : 「────というわけで、ハイ。負けましたよ」
[メイン2] 因幡 月夜 : ある一室にて、正座したまま報告をする
[メイン2] 鳴神虎春 : 「────で、遺体も回収できなかったと」
[メイン2] 鳴神虎春 : くつくつと笑いながら
[メイン2] 因幡 月夜 : 「はい」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「与えられた任務に対しての……」
[メイン2] 因幡 月夜 : 言い切る前に、静止が入る
[メイン2] 鳴神虎春 : 「遺体に関しては貴女が困るだけだとして」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「矢は〜〜〜少し言い逃れできないんじゃあないかしら?」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「はい」
[メイン2] 因幡 月夜 : 雑に聞き流す
[メイン2] 因幡 月夜 : 多分この絡み方をしてくる時は…
[メイン2] 鳴神虎春 : 「こっちはあくまでエージェント」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「失敗したら次やればいーのよ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「スピードワゴン財団とはその内こちら側で話をつけておくわ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「『異常物品により収容を行う』、とでも言ってね」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「それはそうと、貴女は機動部隊ν-7の一因としては不合格よ不合格」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「人としても不合格、生命倫理を真っ向から反して生まれたものね貴女」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「ぐちぐちぐちぐちぐちぐちうるさいですね何が言いたいんですか」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「え?」
[メイン2] 鳴神虎春 : 高笑いして
[メイン2] 鳴神虎春 : 「『奇跡』は既に起きてるのよ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「は?」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「だってホラ」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「それを扱いこなせてるじゃない」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「37回目でようやくそれの無力化…いやこれは関係無いわね」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「ともかく」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「よくやったわ」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「………」
[メイン2] 因幡 月夜 : 少し怪訝そうな顔をした後
[メイン2] 因幡 月夜 : 「病気に関してはまた今度手段の模索をお願いしますね」
[メイン2] 因幡 月夜 : そう言い、部屋から退室した
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 鳴神虎春 : 「────危なかったわね。やっぱ鋭さは頭抜けてるわ」
[メイン2]
財団職員 :
「………」
話しかけられた男は
[メイン2] 財団職員? : 少しずつその姿を変え
[メイン2] "343" : 「君が喋りすぎなんじゃあ無いかな、ん?」
[メイン2] "343" : 老人のような姿に
[メイン2] 鳴神虎春 : 「……その顔を見ますに、やる事はやったみたいね」
[メイン2] "343" : 「奇跡を成し遂げたのだ」
[メイン2] "343" : 「それが、悪魔のような生まれの子だとしても」
[メイン2] "343" : 「成し遂げた分の『祝福』は、授かるべきだろう?」
[メイン2] "343" : 「約束通り、『子を成し得るくらい』には彼女の"現実性"は安定させたよ」
[メイン2] "343" : 「それでは」
[メイン2] "343" : そう言い、指を鳴らして
[メイン2] : 何処へと消え去った
[メイン2] 鳴神虎春 : 「化け物ね、本当に」
[メイン2] 鳴神虎春 : 「"神"の御業…とでも言うのは」
[メイン2]
鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 : 「失礼ね」
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] 鳴神虎春 :
[メイン2] : こうして、剣士の物語は一先ず終わりを迎えた
[メイン2] : 恥ずかしがり屋とその後に関しては、ここで語るべきでもないだろう
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] : 相応の労苦を味わったものに、相応の祝福を
[メイン2] : 相応の罪を働いたものに、相応の罰を
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] 096 : 「ああああああああ……」
[メイン2] 096 : いつも通り頭を抱えている
[メイン2] 因幡 月夜 : 「戻りましたよー」
[メイン2] 因幡 月夜 : 部屋は地下
[メイン2] 因幡 月夜 : 監視カメラもない完全に一人と一匹の空間
[メイン2] 因幡 月夜 : 「はい」
[メイン2] 因幡 月夜 : 買ってきた生肉をそのまま置く
[メイン2] 096 : すると、それに反応して
[メイン2] 096 : パクリ!
[メイン2] 096 : 大きく顎を開け、丸呑みする
[メイン2] 096 : 心無しか喜ぶように部屋を歩き回る
[メイン2] 因幡 月夜 : 「はいはい、それでそれで」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「次は今日あった話をしますね」
[メイン2] 因幡 月夜 : 「それは──────」
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] 因幡 月夜 :
[メイン2] : "恥ずかしがり屋"は話し相手を得て
[メイン2] : "因幡の白兎"は身に課せられた呪いの一部を解いた
[メイン2] : これにて、真の終幕となるだろう
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2]
:
アイテム番号: SCP-096
オブジェクトクラス: Euclid→Safe→
[メイン2] : Neutralized
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] : 【顔を見たものを問答無用に殺害する】異常性は、喪失されました
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] : それに伴い、096オブジェクトに対する終了計画
[メイン2] : 【凍結】
[メイン2] :
[メイン2] : 特別収容プロトコル: SCP-096は常に5m×5m×5mの密封されたサイト-◾️の地下室に収容されています。週に1回、他エージェントは地下室に裂け目や穴ができていないか検査します。SCP-096の地下室の中に監視カメラや光学的道具を設置してはいけません。エージェント"夜兎"は、一日に一度地下室にSCP-096が確かにいることをチェックしてください。
[メイン2] :
[メイン2] :